『DCU』で阿部寛とバディを組む横浜流星。演技力が光る2019年の作品とは

“水中未解決事件”に挑むエキスパート集団

海上保安庁に新設された組織「DCU（Deep Crime Unit＝潜水特殊捜査隊の略称。本作で創作された架空の組織）」。それは河川や湖などの水中に隠された証拠を探し、警察では捜査困難で地上の事件に比べて解決率が低い“水中未解決事件”を解明するエキスパート集団である。彼らが活躍するミステリードラマが、1月16日から始まる日曜劇場『DCU』だ。ハリウッド大手制作プロダクションと共同制作され、海上保安庁の全面協力のもと撮影が敢行されることでも話題となっている。

DCUを率いる隊長・新名正義（阿部寛）のもとにメンバーが集結する。そのうちのひとり、水難事故で新名に命を救われた過去があり、ダイバーとして卓越した能力を持つ一方で、アツくなり過ぎて突っ走りがちな面もある若手隊員・瀬能陽生を演じるのが横浜流星だ。

2012年、『仮面ライダーフォーゼ』（テレビ朝日）でテレビドラマに初出演。『初めて恋をした日に読む話』（19年、TBS）で演じた、ピンクの髪でイキってる不良だけど中身はピュアな高校生役で一気にブレイク。以降の目覚ましい活躍は周知の通りである。定評ある演技力やフェロモンだだ漏れな色気もさることながら、デビュー前には国際青少年空手道選手権大会で優勝しただけあって、アクションでもズバ抜けた身体能力を発揮している。

地味で奥手な青年になりきって

そんな横浜クンの出演作がことごとく話題になり、次世代を担う俳優に与えられる賞を総なめにして転換期となった19年、公開された映画が『愛唄 −約束のナクヒト−』だ。その２年前の出演作『キセキ −あの日のソビト−』（17年）に続く、ボーカルグループGReeeeNの映画プロジェクト第2弾で、GReeeeNのメンバー自身が脚本制作から参加したラブストーリー。横浜クンはこの作品をはじめとする演技が評価されて日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。

ごく普通のサラリーマンとして日々を過ごしていた野宮透（横浜）は、会社で受けた健康診断でガンが見つかり、余命３ヶ月の宣告を受ける。茫然自失となった透は投身自殺を図ろうとするが、隣のビルにいた男から声をかけられて我に返る。その男は、高校時代の同級生・坂本龍也（飯島寛騎）だった。

透から事情を聞いた龍也は、透のスマホにカウントダウンアプリをダウンロードし、ここに表示されているお前に残された日々は無駄に捨てられるものじゃないと励ます。龍也はかつてバンドを組んでデビューしたものの売れずに解散。才能のなさを思い知らされ生きる意味を見失った経験をしていた。

龍也と出会った帰り、透は道で拾った詩集を読んで胸を打たれる。進行する病状に苦しみながら、詩集を励みに生きる透。やがてその詩を書いた少女、伊藤凪（清原果耶）との運命の出会いが待っているとは知らず——。

横浜クンは、絶望の淵で希望の光を見出す地味で奥手な青年になりきっていて、やっぱり単なるイケメンじゃないと思わせる。NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』（2021年）でブレイクした清原果耶は、本作の公開当時17歳。今後もっとも期待される俳優ふたりは最初っからただ者ではなかったんだなと思わせる作品である。

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