ブシュロンが、世界で最も長い歴史を誇る美術品オークションハウス・クリスティーズとの共同企画によるメゾンの回顧展「Boucheron: In Focus - A Monograph of a Visionary」を開催。クリスティーズ ニューヨークで一般公開した。
エントランスには、現在のブシュロンを形づくってきた重要な節目や、クリスティーズとの関係について記された年表が展示された

また、ブシュロンは毎年2回異なるコンセプトのもとに、メゾンの歴史や伝統を再解釈する「ヒストリー オブ スタイル」と、フランス語で「白紙委任」を表す「カルト ブランシュ」の二つのハイジュエリーコレクションを発表しており、本展は「カルト ブランシュ」の最新作「ヒューマン ビーイング」をアメリカで初公開する機会となった。
「ヒューマン ビーイング」コレクション
パリの建築は、ブシュロンのクリエイションに絶えず大きな影響を与えてきた。パリの街の造形、規模、光の効果、オスマン様式のモダニズム、アールデコの大胆な幾何学模様などが、ブシュロンのジュエリーデザインに反映されている。
「アドレス」リング
「クリストー」ネックレス
「ヴァンドーム リズレ」イヤリング
「ラヴァリエール ディアマン」ネックレス 創業者フレデリック・ブシュロンは、自然から尽きることのないインスピレーションを得ていた。本章では、実物のように精巧で生き生きと描かれた動植物をジュエリーへと昇華させる、メゾンに受け継がれる自然観を表している。
「ニュアージュ ドゥ フルール」リング
「バトゥマン デル」ネックレス
ハーコート子爵家令嬢へ贈られたリーフモチーフのティアラ
「リエール ドゥ パリ」ネックレス
織物商の息子として生まれたフレデリック・ブシュロンは、テキスタイルの流れるような動きや質感を、メゾンのアイデンティティそのものに組み込んでいた。本テーマでは、テキスタイルをジュエリーで表現した作品を展示している。
「グラン ノール」ブローチ
「トリコ」ブレスレット
1959年に制作された、ファブリックの質感をゴールドで精巧に再現したネックレスは、メゾンの代名詞とも言える作品。まるで本物のリボンのようにフロント部分が結ばれたデザインで、両端は流れる曲線を描きながら垂れ下がっている。ゴールドを本物の織物のように織り込むことで、しなやかで自然な曲線を実現している。
リボンネックレス
「ヌー」ブレスレット このテーマ内では、2025年に発表されたハイジュエリーコレクション「カルト ブランシュ、インパーマネンス」の専用展示スペースが設けられた。本コレクションでは、光から闇へと移り変わり、植物と昆虫の共生、生命が誕生してから終わりを迎えるまでの流れが表現されている。
「コンポジション No.3」(アイリス、藤、クワガタムシ)
超高解像度の3Dプリント技術や、独自に開発されたダイヤモンドのクチュールセッティング、可視光の99.965%を吸収し、最も完璧な黒を実現するベンタブラック®など、最先端の技術や素材が採用された。
「コンポジション No.2」(マグノリア、ナナフシ)
また、2018年のハイジュエリーコレクション「ナチュールトリオンファント」の「フルール エターナル」リングは、最先端の技術を用いて本物の花を結晶化させた作品。特定の産業廃棄物にガラス固形化するというプロセスを適用して作られた、コファリット®と呼ばれる素材が採用された「ジャック ドゥ ブシュロン ウルティム」のブローチなどにも注目したい。
「フルール エターナル」リング
「ジャック ドゥ ブシュロン ウルティム」ブローチ 「カルト ブランシュ」は、クレール・ショワンヌが自由にテーマを選ぶことで従来のハイジュエリーの慣習や定義を押し広げ、「プレシャス(価値ある、貴重なもの)とは何か」を探求する機会でもある。
今年のテーマは、人間の“見た目”ではなく、人間という“存在そのもの”をたたえる「ヒューマンビーイング」。五つのネックレスとリングによるジュエリーセットを通じて、人と人とを結びつける共通点と、ひとりひとりの個性や違いを浮き彫りにしている。
「フラワー」ネックレス
「タトゥー」リング
すべての作品は、基本となる共通のフォルムを持ちながらも、異なる素材と職人技を駆使して制作された。ボリューム、宝石、光の絶妙な調和といった細かな違いが、人間の無数の個性を表現。それぞれの作品を注視するほどに新たな発見がもたらされ、それは私たちひとりひとりの内側にある、人間という存在を形づくる様々な要素と共通しているといえる。
photos: BOUCHERON
text: Tomoe Tamura