読書の秋。旅情を誘う本や写真集に触れて、束の間の旅を味わうのはいかがだろうか。日常から少し離れ、物の見方が変わる時間。町の書店が選ぶ、各地の物語や風景を訪ねて。
ゴッホは、37年の短い生涯で旅や移住を重ねた。オランダ、イギリス、ベルギー、パリ、南フランス、オーヴェール=シュル=オワーズ。その足跡をたどりながら、まるで一緒に旅をしているような気分になれる一冊。作品とともに、滞在した土地の風景や食材の写真、ゴッホが食べたであろう料理の再現レシピも紹介される。食を通してゴッホの人となりを想像し、身近に感じられるのが新鮮だ。
『ゴッホ 旅とレシピ』林 綾野
講談社 1,760円(税込)
鉄道草創期から昭和中期に建てられた全国の歴史ある駅舎を収録。日本建築写真家協会の有志が撮影した289駅から選りすぐりの写真が掲載されている。四季折々の写真で構成され、日本の原風景を訪ね歩くような一冊。駅を行き交う人たちの日々の営みを想像させ、郷愁を呼び起こす。老朽化のために現在は取り壊されてしまった駅舎もあり、貴重な記録でもある。写真は列島を北から南下するように並べられ、鉄道で日本中を旅する気分に。
『しらずの駅舎』日本建築写真家協会編
鹿島出版会 3,300円(税込)
北極冒険家である荻田泰永が2019年に若者12名を引き連れ、カナダ北極圏のバフィン島で実施した「北極圏を目指す冒険ウォーク」。大学生、社会人、フリーターなど、アウトドアの初心者だった参加者が北極圏ルート600kmの踏破に挑み、極限状態の中で自身と対峙する姿が生々しく描かれる。若者たちの約1カ月間の成長物語と冒険家の思索を書き下ろした、臨場感ある極地紀行。
『君はなぜ北極を歩かないのか』荻田泰永
産業編集センター 1,760円(税込)
自身も旅好きで知られる原田マハによる短編小説集。大学時代からの友人同士であるハグとナガラが体験する6つの旅物語だ。恋も仕事も失い、絶望していたハグのもとに、突然「一緒に旅に出よう」とナガラからメールが届く。以来、2人は季節ごとに旅へ。30代、40代、50代と年齢を重ね、日常の変化にもがきながらしなやかに生きる。旅と友情を通して人生の喜怒哀楽を味わい、元気をもらえる一冊。読み終えると友達と旅に出たくなる。
『ハグとナガラ』原田マハ
文春文庫 660円(文庫/税込)
さくらももこが編集長となり、「ひとり雑誌」として企画や取材・執筆、漫画、イラストなどすべてを手がけた伝説の雑誌『富士山』。そこに寄稿したエッセイの中から単行本未収録の11篇をセレクトしている。ミッフィーの作者・ブルーナに会いに行ったユトレヒト、夏の富良野、大好きなバリ島……。さくらももこワールドを通して旅の魅力を感じ、自分も旅に出たくなる。作家・朝井リョウさんによる特別寄稿も収録。
『たびたび』さくらももこ
新潮社 1,870円(税込)
全大陸を網羅した世界地図。地図の中に遺跡などのスポットのほか、名産品や名物料理、歴史、文化などが書き込まれている。映画のロケ地などの豆知識も記されているのがユニークだ。開いただけで旅気分を味わえ、過去に訪れた場所を思い出しながら眺めるのも楽しい。20版となる最新版では、クルーズ船の旅「世界一周」「地中海」「バルト海」「アジア」「カリブ海」を地図と写真で紹介している。
『旅に出たくなる地図 世界』
帝国書院 2,860円(税込)
[Book]Select
旅と暮らしの本屋 アンダンテ
〒112-0011
東京都文京区千石4-39-17
tel:03-4329-2999
営業時間:11:00~20:00(土日祝日は19:00閉店)
定休日:月曜日(別途夏季・冬季休業あり)