国際アートフェア「フリーズ・ソウル」が、2026年9月2日(水)〜5日(土)、ソウル・江南(カンナム)のCOEXで5回目の開催を迎える。世界各地の主要ギャラリーが参加する「フリーズ・ソウル」は、いまやアジアのアートシーンを象徴するイベントのひとつだ。
「フリーズ・ソウル」を手がけるのは、ロンドン発のアートメディア/アートフェア運営企業「フリーズ」。1991年創刊の『Frieze Magazine』を起点に、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスでアートフェアを展開してきた。アジアで初めてフリーズが進出した都市がソウルだったことは当時大きな話題となり、「アジアのアートシーンの中心は韓国へ」との見方が一気に広がった。
© 2026 George Condo / Artist Rights Society (ARS), New York Courtesy the artist and Hauser & Wirth Photo: Sarah Muehlbauer
今年の「フリーズ・ソウル」には、30ヵ国から125以上のギャラリーが集結。会場に入れば、美術館さながらにアートが壁にかけられたブースを自由に見て回ることができる。そして気に入った作品があれば、その場でギャラリーに交渉・購入する、という流れだ。昨年はハウザー&ワースのブースで、マーク・ブラッドフォードの三部作《Okay, then I apologize》が、VIPプレビュー初日に450万ドルでアジア人コレクターに売れたことがニュースになった。
では、実際に会場を彩るのはどんな作品群なのだろうか。創設以来フリーズ・ソウルの基盤となってきた「Galleries」セクションには、ハウザー&ワース、ガゴシアン、ペースなど、90近い世界のトップギャラリーが個別にブースを構える。今年は、ガゴシアンがデミアン・ハーストの個展形式のブースを出展することも話題だ。

「Galleries」のほかには「Focus」「Material Practice」「Spotlight」という3つの区画がある。新進ギャラリーを対象とする「Focus」は今年からアジア以外の国にも門戸を広げ、16のギャラリーが参加。工芸と現代アートの接点をテーマにした「Material Practice」と、20世紀の見過ごされてきた作家に光を当てる「Spotlight」は、いずれも今年初めて導入された新セクションだ。「Spotlight」は西洋中心の美術史の枠組みでは見過ごされてきた作家や、その重要な初期作品を紹介することを狙いとしている。日本からは中辻悦子と関根伸夫が出展作家に名を連ねる。
また、フリーズが2025年にオープンした常設スペース「フリーズ・ハウス・ソウル」では、竹工芸家・四代田辺竹雲斎の個展「INVISIBLE FOREST」が9月19日まで開催される。
アートフェアと聞くと、「アート・バーゼル」を思い浮かべる人も多いだろう。歴史と格式を感じさせるアート・バーゼルに対し、フリーズは現代アートを軸に、都市やファッション、音楽など幅広いカルチャーとの接点をつくってきた。その特徴は、ソウルでも色濃く表れている。
フリーズ・ウィークの期間中は、ソウル市内のギャラリーや文化施設を舞台に、映画、音楽、パブリックアート、夜間イベントなどが展開され、街全体へとアートの熱気が広がっていく。
なかでも注目したいのが、英国人アーティスト、ライアン・ガンダーによる都市型のパブリックアートプロジェクト「The Find Seoul」だ。8月31日から9月10日まで、乙支路(ウルジロ)、漢南(ハンナム)、清潭(チョンダム)、三清(サムチョンドン)、そしてCOEXの一般開放エリアに、16,000枚の特製コインが隠される。コインにはそれぞれ異なる言葉が刻まれており、見つけた人は持ち帰っても誰かに譲ってもいい。街を歩きながら楽しめる参加型のアートだ。
The Find 2023, Ryan Gander, Photographer Tania Castro
さらに、フリーズ・ウィークには「ネイバーフッド・ナイト」も開催。乙支路、漢南、清潭、三清の4つのエリアで、夜遅くまでギャラリーのオープニングやパフォーマンス、イベントなどが繰り広げられる。
そして、こうした華やかな1週間を彩るのが、アート界だけにとどまらないセレブリティたち。2025年には、K-POPスターに加えて韓国のファーストレディだったキム・ヘギョンをはじめ、BLACKPINKのリサ、バラク・オバマ元米大統領の娘マリア・オバマらが来場した。
ギャラリーを巡り、気になるものがあれば買って、夜は街へ繰り出す。フリーズ・ソウルの面白さは、フェア会場だけでなく、ソウルという都市そのものがアートとカルチャーを楽しむ舞台になること。いつもとはひと味違うソウルの街を、アートを探しながら歩いてみてはいかがだろう。
Frieze Seoul 2026
会期:2026年9月2日(水)〜5日(土)
会場:COEX(513 Yeongdong-daero, Gangnam-gu, Seoul)
特設サイト:https://www.frieze.com/fairs/frieze-seoul
Text : Kyoko Takahashi