
―― 最後に、思い入れのあるシーンを教えてください。
行定 朝日が昇る瞬間のシーンですね。詳しく話すとネタバレになるので控えますが、この恋の“実態”がなんとなく見えてくる美しい一幕です。
福士 僕は、恵と亜子が家からバス停までの道のりで繰り広げる「外来語禁止ゲーム」のシーンです。涼を演じるうえで、もっとも心が苦しかった……。


―― それは、なぜでしょうか。
福士 「外来語禁止ゲーム」は恵と亜子のささやかな日々の延長に存在するもので、涼はそんなルールを知るよしもありません。だから彼女から「え? 外来語禁止ゲームじゃないの? 」とツッコミが入った時に、自分が恵ではないという事実を突き付けられたように感じたんです。亜子がどんなふうに思っていたかはわかりませんが、それでも、あのやりとりは2度目に観賞すると、見え方が大きく変わりそうです。
行定 この映画は星を見上げる人々の物語とも言えると思います。夜空に輝いている星の光が地球に届く長い時間に比べれば、人間の生きている時間なんて瞬きのようだと思います。そんな短い時間の中で人はいろんな苦難を乗り越えながら生きているし、その先に幸福を感じたりするのです。この映画を見た人たちに、星空を見上げている主人公たちの刹那が美しく映ってくれることを願います。

photo: Tomoko Hagimoto text: Mako Matsuoka
映画『楓』
出演:福士蒼汰、福原遥、宮沢氷魚、石井杏奈、宮近海斗、大塚寧々、加藤雅也
監督:行定勲
原案・主題歌:スピッツ「楓」(Polydor Records)
公開:12月19日(金)全国公開
配給:東映/アスミック・エース
Ⓒ2025 映画『楓』製作委員会
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