スイスの名門ウォッチメゾン「ヴァシュロン・コンスタンタン」が、創業270周年を記念した機械式時計「ラ・ケットゥ・デュ・タン(La Quete du Temps/探求)」を発表した。パートナーシップを結ぶパリ・ルーヴル美術館で開催されている「Mécaniques d’Art(メカニック・ダール ‒ 機械美の芸術)」展にて、2025年11月12日まで展示されている。
「ヴァシュロン・コンスタンタン」は、1755年9月17日に誕生して以来、「できる限り最善を尽くす、そう試みることは少なくとも可能である」という信念のもと、高級時計製造における技術と卓越性の探求を続けてきた。メゾンが受け継ぐ高級時計製造の伝統、芸術的な職人技、オートマトンの機構美が融合された「ラ・ケットゥ・デュ・タン」は、まさに人類の創意工夫と情熱、創造性が表現された傑作だ。

7年の歳月をかけて制作された高さ1メートルを超える本作は、「ドーム」「天文時計」「台座」の三つの要素から構成されている。
時計の上部には、北半球の天空図とゴールドの太陽があしらわれたガラスドームが配され、その内側には、宇宙の中心にたたずんでいるかのようなオートマトンの天文学者を配置。オートマトンは、音楽に合わせた動作によって時・分を示すだけでなく、宇宙の美と神秘、計時という人類の能力の根源にある天文現象についての想像の世界へと私たちを誘う。

中央部にあるのは、象徴的な複雑機構と二つのダイヤルを備えた天文時計。前面のダイヤルは、ミラー仕上げが施された4層のロッククリスタルで構成され、いくつもの弧や曲線などの円形を組み合わせて左右対称の配置にすることで、直感的な読み取りを可能にしている。また、背面のダイヤルには、北半球の天空図上で星座の動きをリアルタイムに追跡する機能が備わっている。


そして下部には、ラピスラズリの背景に太陽系が描かれた2層の台座を設置。その下にある八角形のベースには、オートマトンを駆動し、その動きに合わせて音楽を奏でる機械式音楽装置が収められている。

オートマトンの設計を手掛けたのは、世界最高のオートマティエ(オートマタ製作者)として知られるフランソワ・ジュノー。天体の軌跡を監修したのは、ジュネーブ天文台の天文学者だ。さらに、メゾンと長年コラボレーションを続ける音楽作曲家でアーティスティック ディレクターのウッドキッドにより提供された、三つの楽曲も組み入れられるなど、本作にはさまざまな分野の技が集結している。



時を知らせるオートマトンを製作するという挑戦について、「ヴァシュロン・コンスタンタン」のスタイル&ヘリテージディレクター、クリスチャン・セルモニは、「ヴァシュロン・コンスタンタンの時計師、デザイナー、職人、設計者たちは、常にメゾンの精神を保ちながら、高級時計製造の領域で自らの限界を超えることを信条としています。古代ギリシャやペルシャ帝国の時代にまで遡る世界最古のオートマトンの記録から、現在に至るまで、時刻表示機構に統合されたオートマトンの記録は見つかっていません。記録上、すべてが独立した装置か付加的なアニメーションです。メゾンはオートマトンと時計製造の二つの世界を再解釈する方法を探りました。そして、計時機構にもう一つの複雑機構として、時・分を示すオートマトンを加えることを決めたのです」と語っている。

同メゾンとルーヴル美術館は、2016年にフランス王15世に献呈されたクロック「天地創造」(1754年)の修復をきっかけに、2019 年にパートナシップを締結。2020年、コロナ渦でクリスティーズが開催したオークション「Bids for the Louvre 」では、同メゾンのビスポーク「レ・キャビノティエ」を出品するなど、伝統、文化、技術の保護と継承という同じ理念のもと、その関係性を築いてきた。


「ラ・ケットゥ・デュ・タン」は、「Mécaniques d’Art (メカニック・ダール - 機械美の芸術)」展の中心的作品として、「天地創造」と一緒に2025年11月12日まで展示されている。
text: Tomoe Tamura
・時を超えて深化する美しさと匠の技 「ヴァシュロン・コンスタンタン」 270年のあくなき探求
・卓越した技術と芸術性の融合「ヴァシュロン・コンスタンタン」の270年を讃えて
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・ルーヴル美術館
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