かつてフランス王侯貴族に愛された比類なき白さを誇る絹「セヴェンヌ」が、300年の時を経て、日本・山形でよみがえる姿を描いた長編ドキュメンタリー映画『マダム・ソワ・セヴェンヌ』。現代アーティスト、中北紘子さんの作品とその制作風景が盛り込まれた本作は、「山形国際ドキュメンタリー映画祭2025」にてプレミア上映され、現在、来年以降の全国公開に向けたクラウドファンディングが実施されている。
マリー・アントワネットが愛したとされる伝説の絹「セヴェンヌ」は、世界一白い絹といわれ、フランスで伝承されているほど希少な品種。

シルク映画の“入門編にして決定版”を目指した本作は、日本とフランスにあった近代の絹の交易や伝統技術・文化を、映像で記録し、未来に伝えたいという思いから制作されたもの。絹産業の最前線で活躍する養蚕家、織物職人、染色家などの取り組みを、3年の歳月をかけて取材し、日仏間に育まれた文化交流の痕跡や、現代に受け継がれる絹織物の伝統技術などを追っている。


本編には、現代アーティストである中北紘子さんの作品が登場。中北さんは、「かつてフランス王朝貴族の服飾に⽤いられ、最⾼に美しい絹⽷を⽣む『幻の蚕』とされた『セヴェンヌ』。そんなセヴェンヌを、私は蚕の中の『姫』だと捉えました。徳川家康には⻲姫という娘がいますが、私はその末裔(まつえい)にあたります。⾃らの⽣命を賭しながら美しい⽷を吐き続ける『セヴェンヌ』の姿は、私にとって、様々な思惑の中に⾝を置きながらも、芯を通して⾃らの⽣を⽣き抜いた⻲姫の姿と重なります。『姫』という存在に宿る純粋で強い美しさを表現したいと思い、『セヴェンヌ』から着想して、三つの作品(着物、帯、平面)を制作しました」とコメントを寄せている。


映画のナレーションを務めたのは、絹文化の伝承を早くから意識的に実現されている、歌舞伎役者で人間国宝の坂東玉三郎さん。本作には、これまで明かされることなかった匠の手仕事の技と、天然素材で染め抜かれた目が覚めるような色彩の美しさが、余すことなく記録されている。

また現在、来年からの全国公開に向けたクラウドファンディングに挑戦中。支援者の名前は、劇場公開時の本編エンディングでのクレジットが予定されている。映画館の大スクリーンで、たくさんの人にその歴史と美しさを堪能してほしいドキュメンタリー映画なので、ぜひ詳細をチェックしてほしい。
photos: © 映画「マダム・ソワ・セヴェンヌ」製作委員会
text: Tomoe Tamura
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ドキュメンタリー映画『マダム・ソワ・セヴェンヌ』
日本、フランス/2025/日本語、フランス語/カラー/DCP/87分
ナレーション:坂東玉三郎
プロデューサー:細尾真生、髙橋卓也
監督:佐藤広一
音楽:小関佳宏
制作:川﨑仁美
出演:下山菊夫、ミッシェル・コスタ、高松秀徒、リシャール・コラス
クラウドファンディング(READYFOR):絹の文化を紡ぎませんか?-シルクの映画〈劇場公開プロジェクト〉
https://readyfor.jp/projects/160338