© Jean Picon
1780年にパリで創業したショーメ。240年以上におよぶ歴史のうちの「1965年~1985年」に焦点を当てたユニークな展覧会「Un Âge d’Or: 1965-1985(黄金時代: 1965-1985)」が、パリ・ヴァンドーム広場にあるショーメ本店で開催されている。ショーメといえば、ナポレオン1世の皇后ジョゼフィーヌの御用達メゾンであったこと、自然を忠実に再現した作品が多いことなど、正統派のイメージがあるかもしれないが、この展示で知ることができるのはショーメの前衛的な一面だ。
ヒッピームーブメントからディスコ、パンクにいたるまで、1965年~1985年は自由と大胆さに特徴づけられる激動の時代。それまであった価値観に異を唱え、新しい流行が次々と生まれた。ショーメにおいてもこの時代、大胆不敵な手法で、ジュエリー界の既成概念にとらわれない動きが活発に見られた。宝飾史家のヴァネッサ・クロンがキュレーターを務めた「Un Âge d’Or: 1965-1985」は、ショーメの20年間の奔放な創造性を回顧する展覧会だ。彼女がショーメの展覧会のキュレーションを務めるのは今回が初めてとなる。
展示はショパンが最後の作品を作曲したことで知られ、歴史的建造物に指定されている部屋「サロン・ショパン」から始まる。ヴァネッサ・クロンは当時の作品140点を集め、豊かなコレクションへのオマージュを表現した。集められたのは、ショーメがアーカイブしている作品や写真、デッサンに加え、ピエール・ポランの家具、アンディ・ウォーホルの石版画、今年88歳でこの世を去ったパコ・ラバンヌがデザインしたドレス、当時のテレビ番組映像など、実にさまざま。モビリエ・ナショナル(公共建築物の家具調度品の製作・保管・修復を行うフランス国家機関)、ディオール、バカラなども展示品の提供に協力している。その多くは初公開だ。装飾や音響も当時の雰囲気に浸れる特別仕様となっている。没入感のある空間で宝探しを行うような気分で、鑑賞を楽しむことができる。



展覧会で続いてフォーカスされるのは、「黄金時代」を彩った二人の人物。一人は1962年にショーメに加わり、30歳の若さでクリエイティブ・ディレクターを務めたルネ・モランだ。ユーモアとエネルギーに満ちた彼は、各地の城、イギリス海軍の頭飾り、電話機など、あらゆるものにインスピレーションを見いだし、ジュエリー作品として表現した。バカラとのコラボレーションも行い、動物をモチーフに、クリスタルにゴールドヴェルメイユ(金張り)加工を施した37作品を生み出した。また、質感のあるイエローゴールドを大胆に用いた特大サイズのジュエリーも創作。当時の作品やモデルが着用した写真が展示されている。もう一人は1976年に入社したピエール・ステルレ。ジュエリーに動きを表現することへのこだわりを持ち、鳥や楽器をモチーフにしたブローチの名作などを生み出した。動き出しそうな躍動感が作品に感じられる。



ショーメは1970年、ヴァンドーム本店の隣に新しいタイプのブティック「L’Arcade」をオープンした。中国漆を使用した内装、音響機器の導入など、ヴァンドーム広場の壮麗な様式とは一線を画したしつらえは、ジュエリーがより民主的なものとなりつつあった時代にフィットし、芸術と商業を結びつけるものとなった。「Un Âge d’Or: 1965-1985」では、当時の「L’Arcade」の様子をアーカイブ写真などを通じ見ることができる。
驚きと発見に満ちた展覧会。事前予約が必要なものの、無料で鑑賞することができる。会期は12月2日(土)まで。もし期間中にパリを訪れる機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。

text: Shunya Namba @Paris Office
【Un Âge d’Or: 1965-1985】
■会期:12月2日(土)まで
■所在地:12 Place Vendôme, Paris 1
■開館時間:11:00~19:00
■休館日:日曜・月曜
■公式サイトより事前予約が必要
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