
━━幼少期の頃からアアルトの設計した図書館で過ごしたとのことですが、幼いながら、どんな部分に惹かれていたと思いますか。その空間はどんな快適さがありましたか。
私は北極圏の小さな街で生まれ育ち、子供だった、1970年代は質素で贅沢なものがないエリアでした。そんな中、図書館へ行くととても豪華で贅沢な感じがしたのを覚えています。それは子供だけでなく、大人にとっても贅沢な場所だったと思います。特に冬は寒くてマイナス30℃まで下がるので、図書館に入るととても暖かくて歓迎してくれている気がしました。革の椅子や真鍮(しんちゅう)でできたランプなども美しい印象が残っています。その隣にアアルトの建物の音楽学校もあり、私たちは午後の時間をアアルト設計の建物で過ごしていたのですが、それは公共の広場を美しいものとしてみんなで共有するという社会民主主義的な考え方だと思います。アイノにもそういった考え方があり、普通の人の日常生活をより豊かにする考え方が基盤となっています。またアイノは子供が使うような家具や幼稚園、ヘルスセンターなどみんなが使う公共の場所を建築していました。フィンランド人はアアルト建築に囲まれて育ったと言えるでしょう。

━━そういった存在であるのは現代でも変わらず?
私たちの世代は日常生活に属しているもので、みんな慣れているといった感じでした。いつもあるので流行遅れにもならない存在でしたが、どの家にもあるからあまりかっこ良くないよねと批判された時期もありました。しかしここ数年、若い人たちにも人気が出ていて、アートの再発見といったムードが流れています。
━━批判を受けた時期もあったのですね。
アアルトが年を取ってきた1960年代頃、若い建築家に攻撃された時期がありました。彼らはむき出しのコンクリートを使っていて、アアルトは主に大理石や木材など高い材料を使っていたので「エリート建築だ」と批判されていました。今のフィンランドでは木の建築がまた復活してきて、ある種ルネサンスのような感じでクールだねと言われてきています。
━━世代を超えて愛されている存在だということがわかります。
私自身もそう感じたことがあって。3人子供がいるのですが、長男が家を出るときに家にあるアアルト スツールを全部持っていってしまったんです(笑)。また2番目の子供が家を出るときは、私が持っていたアイノグラスを全部(笑)。それを見て、本当に人気なんだと実感しましたね(笑)。

