伝説のモナコ公妃グレース・ケリーが晩年を過ごした、南仏コート・ダジュールの隠れ家とは?
2023.9.13

Popperfoto / Getty Images
ハリウッドのスターからモナコ公妃へと華麗な転身を遂げたグレース・ケリー。不慮の交通事故で亡くなってから40年以上が経った今、南仏のリゾート地ニースに近い古風な村に、彼女がお忍びで足繁く通っていた秘密の邸宅があったことが明らかになった。
2023.9.13
Popperfoto / Getty Images
ハリウッドのスターからモナコ公妃へと華麗な転身を遂げたグレース・ケリー。不慮の交通事故で亡くなってから40年以上が経った今、南仏のリゾート地ニースに近い古風な村に、彼女がお忍びで足繁く通っていた秘密の邸宅があったことが明らかになった。
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気品に満ちた美しさで「クール・ビューティ」と称されたハリウッドの大スターで、人気絶頂の最中にモナコ大公レーニエ3世と結婚し、公妃となったグレース・ケリー。1982年、交通事故による非業の死を遂げてからもなお、その華麗ではかない生涯は語り継がれ、ファッションアイコンとして存在感を残し続けている。そんな彼女が晩年よく訪れていた別荘のひとつは、フランス・リヴィエラを舞台とした代表作『泥棒成金』のワンシーンのような美しい隠れ家だったという。マリ・クレール インターナショナルのイタリア版デジタル記事よりお届け。
アルプス山脈の小さな村に、グレース公妃が人生最期の2年間をひっそり隠れて過ごした壮麗な邸宅がある。
彼女は1980年6月21日、偶然この地を訪れた。グレース公妃と娘のカロリーヌ公女は、アルベール公子(現アルベール2世)の名付け親である貴族男性とともに、プロヴァンス地方にある人口1000人あまりの小さな村、ジレットを公式訪問。ジレットの産物として特に有名なチーズとオリーブオイルの発表会に出席した。
試食した時の味わいの純粋さか、公女と公子のために演奏された村の合唱団の素朴さか、あるいは周囲を取り囲む美しい癒やしの風景がそうさせたのかもしれない。事実、グレース公妃はこの地に、とりわけ会合が行われた場所のひとつにほれ込んだ。そこはレ・ムーラン・デュ・ヴィラールと呼ばれ、水車を動かすための貴重な水を供給する、アルプス山脈とラッティ川から湧き出る2つの天然泉を含む6,500エーカーもの敷地の真ん中にある、17世紀にその土地の荒石で建てられた飾り気のないコテージだった。
数十年間は実際、製粉所と製油所としてのみ使用されてきた場所で、その後、事実上放棄されていた。フランスの伯爵、ジャン・フェルナン・ジョゼフ・グアン・ド・ルーミリーが、ニースから車でわずか1時間という牧歌的な場所にあり、ジレット村と森を見渡す素晴らしい眺望とあの洗練された建築様式、そして刺激的な色彩を持つこの建物が、夏の邸宅として復元され、魅力を広めるに値すると考えるまでは。
伯爵は1970年代にこの邸宅を購入し、隠しエレベーターで結ばれた4階建て、7つの寝室に改築。庭にはプールを設け、豪華な内装を施し、ヨーロッパの上流階級が集う場所へと生まれ変わらせた。レ・ムーラン・デュ・ヴィラールは、グレース公妃が初めて目にした時はまだルーミリー伯爵が所有していた。
その公式訪問以来、公妃はしばしばこの邸宅に滞在するようになったが、お忍びで、彼女の存在に気づいていない村人たちの間を目立たないように通り過ぎていたという。そこは彼女が疲れを癒やし、かつての生活を回想するため、自分だけの隠れ家のようなものだった。グレース公妃がプロヴァンスの別荘を頻繁に訪れたのは、1982年に彼女が亡くなるまでの2年間だけだった。そして、邸宅やその近くで写真を撮られないように、非常に慎重に行動していた。
彼女はたぶん購入が間に合わなかった。なぜなら、その別荘に行った時、まるでそこがすでに自分の家であるかのように振る舞っていたという彼女は、彼女の華麗なスタイルに合ったオブジェや家具を寄贈していたからである。たとえば庭に置かれた2つの彫像は40年以上たった今もそこにある。その後、彼女の子どもたちはこの壮麗な場所に母親と同様の関心を示すことはなく、1990年代初頭にオランダ人企業家によってヴィラは買い取られ、庭は再び姿を変え、周囲の石壁は修復された。ヴィラ「レ・ムーラン・デュ・ヴィラール」は、2006年に再び他の買い手に渡り、2010年に隅から隅まで改装され、プールはインフィニティ・プールになった。
この別荘がグレース・ケリーの秘密の隠れ家であったことが知られるようになったのは、2023年7月、競売会社サザビーズが委託を受けて1292万ドル(約18億円)で売りに出した時である。アルフレッド・ヒッチコックのかつてのミューズであり、プリンセスとなったグレース・ケリーの名前は、その短い生涯で彼女が触れた、あらゆるものの価格をつり上げる力が、今なおあることを証明している。
Translation & adaptation: Akiko Eguchi
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This article was published marieclaire.com
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