4年ほど前、俳優・モデルの杏は3人の子どもたちと犬を連れて、パリへ移住。時には日本に戻ってきたり、撮影でフィンランドに滞在したり、各地を行き来しながら暮らす日々をエッセイにしたためた。さまざまな場所で子どもを育てながら、感じていることは。
──パリの生活では、街行く人たちの装いにどんな印象がありますか?パリの街並みは建物がベージュで落ち着いたトーンなので、はっとするような赤や原色を身につけている人をよく見かけますね。鮮やかできれいだなと。東京は看板もたくさんあって街がカラフルだから、落ち着いた色を着る人が多い気がします。歴史をさかのぼって考えると、江戸時代、町人の装いに色や柄の制約があったことも根幹にあるのかもしれません。
──移住してから、服やアイテムの選び方は変化していますか?もともと派手な色は好きなんですが、子どもが人混みでも私を見つけやすいように赤や黄色のジャケットを着たりしています。パリはすごく歩きますし、子どもと犬がいるので、歩きやすい靴重視です。アクティブなアイテムがあるブランドもよく購入しますね。
──お子さんのお洋服はどんなものを?昨年フィンランドに行ったら、子ども服選びがすごく楽しくて。ハリネズミの写真を合成して並べていたり、なんだか変わったデザインがたくさんあるのです。インパクトがあってキッチュで可愛い。「マリメッコ」のような優しい色合いのものも多くありますが、そういう謎のデザインが印象的で、私は好きでした。
フィッシュネットを想起するシアーな表情が涼感を誘うクロップドシルクニット。サロペットを重ねることでモダンさがいっそう引き立って。
ニット ¥360,800 サロペット ¥640,200 ブレスレット ¥300,300(すべてエルメス/エルメスジャポン)
──各地で過ごされるなかで、それぞれの言語を学んでいるのですか?私はふだん英語を使うことが多いですね。子どもたちはフランス語の学校に通っています。語学学校に行きたいけれど、子どもの送り迎えをしたりしているとなかなか行けないですね。だから独学で。私は必要に駆られて語学を習得しているだけで、あまり向いていないのかなといつも思います。フィンランドの人たちはマルチリンガルで、新しい言語にトライすることにも抵抗がなかったのです。
──フィンランドには、『
連続ドラマW BLOOD&SWEAT』(
WOWOW)
の撮影で3カ月滞在されたのですね。撮影現場ではさまざまな言語が使われていたのですか?英語、日本語、フィンランド語が行き交う感じでした。最終日の撮影が、キャストは日本人のみ、スタッフはみんなフィンランド人だったのですが、40~50人のスタッフ全員が日本語を勉強してきて。「本番!」「照明OK」など、すべて日本語で進行してくださってすごくびっくりしました。
──さまざまな場所での生活は、お仕事にどう影響していますか?文筆・演技など表現するためには、いろんなことを経験すればするほどいいなと思います。行く場所の知識を深掘りしたり、自分のルーツを考えることにつながったり。キューバに旅行したら日本人の銅像があって、日本の歴史を再認識したこともありました。現地に行かないと味わえないものもあると思います。フランスのクロワッサンはやっぱり美味しい。水なのか湿度なのか、なんか違うなと。
プリントが美しいシルクシャツは、ブラトップをレイヤードすることでより印象的に仕上げて。ショートパンツとアイコニックなブーツを合わせ、軽快なスタイルに。
シャツ ¥900,900 ブラトップ ¥720,500 ニットパンツ ¥420,200 レザーパンツ ¥1,342,000 ブーツ ¥496,100 ネックレス ¥420,200 リング ¥800,800 時計“ケープコッド”[SS、ケース27×20mm、クォーツ] ¥495,000(すべてエルメス/エルメスジャポン)
──エッセイを2冊刊行されました。忙しい日々のなか、どんな時に書いているのですか?夜、一人の時間に書いています。もともと自分の考えを整理したり表現したりするのに、私は書くことがいいなと思っていて。通っていた小学校が、6年間毎日日記を書かせる学校だったのです。10代の終わりにはブログ文化があって、誰かに向けて長い文章を書くことが当たり前になっていた。そういうことを経て、今もずっと書き続けています。子どもたちはまだ読めたり読めなかったりですが、パリの暮らしを本に残せてよかったです。
「杏のパリ細うで繁盛記」
著: 杏
36歳で子ども3人と犬を連れ、パリへ移住した杏さん。新生活での奮闘や子どもとの日々、アカデミー賞参加、愛犬との別れ、そして未来への思いを綴った、9年ぶりのエッセイ集。
160ページ/ ¥1,760(新潮社)

「杏のとことこパリ子連れ旅」
著: 杏
パリに引っ越すきっかけとなった、子どもたちとの3回の旅。子連れ旅の楽しさと大変さをビビッドに描く、軽やかな日記エッセイ。
207ページ/ ¥1,760(ポプラ社)
──4月に40歳を迎えられました。今やりたいことはなんでしょうか。同級生の友人たちと「子どもたちが小学生になるくらいのタイミングで、1泊とかだったら予定を合わせて旅行できるのかな」と話していて。たとえば3人で食事に行くにしても、そこにそれぞれの家族の体調が関係してきてけっこう大変なんですよね。「近い将来、一緒に温泉にでも行けたらいいね」と話しています。
お問い合わせ先エルメスジャポン tel: 03-3569-3300
関連情報【雑誌『marie claire』のPDFマガジンダウンロードページ】
©︎marie claire/photos: Bungo Tsuchiya〈TRON〉/ styling: Chie Atsumi〈ota office〉/ hair: hirokazu endo〈ota office〉/ make-up: Yuka Washizu〈beauty direction〉/ interview & text: Saya Tsukahara
Profile
杏
1986年生まれ。東京都出身。俳優・モデル。2001年にモデルとしてデビューし、雑誌、映画、ドラマなどで幅広く活躍。主な出演作品はNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」、日テレ系「花咲舞が黙ってない」シリーズ、映画『キングダム 運命の炎』など。2022年、日本とフランスの二拠点生活をスタート。主演を務めたWOWOW日本×フィンランド共同製作ドラマ『連続ドラマW BLOOD&SWEAT』が配信中。