前向きな自分も子育てもコミュニケーションが鍵を握る。CHICO SHIGETAに聞く【後編】

Beauty

2024.05.28

前向きな自分も子育てもコミュニケーションが鍵を握る。CHICO SHIGETAに聞く【後編】

ホリスティックビューティーおよびオーガニックコスメブランドの第一人者である「SHIGETA PARIS」。立ち上げから18年を迎えて、企業への出張サービスやプロ向けのレッスンを始める。全編に続き、やりたいことにまっすぐ向かいながら二児の子育ても並行するCHICO SHIGETAにパワフルでいるための秘訣を教わった。

Index

喜怒哀楽をしっかり感じるからこそアクティブでいられる

子どもの“楽しい”を守るためにも第三者の力を頼る

感情と状況のシェアが子どもの自立を促す


喜怒哀楽をしっかり感じるからこそアクティブでいられる

ーーこれからの計画を話してくださる目がキラキラしていて、惹き込まれました。CHICOさんのように、ポジティブなマインドで描いた夢へと突き進むにはどうすればいいのでしょう?

常に頭の中をクリアにしておくことでしょうか。新しい目標ができたら、実現させるためのプランを立てて、完成のイメージをします。頭の中でイメージが固まったらあとはそこに向かっていきます。私は曇りの状態がとても苦手で、感情や思考のモヤモヤをすぐに除去します。自分の中のネガティブな気持ちや思考に向き合うことでもあるので、人によってはとても勇気のいる行為かもしれませんが、それをずっと抱える方が私にはストレスだなと思います。

ーーネガティブな感情を追い払う方法は?

自分との対話が重要ですね。例えば誰かの一言に傷ついたとします。「今日はなぜこんなにがっかりしてしまったのだろう」「その言葉のどこに凹んだの?」「〇〇さんのことを好いてたから落ち込んでいるの?」などとココロの中で問いかけていきます。そこで出てきた答えで、自分への問いかけを続けるか、「ありがとう」と言って心に区切りをつけてページをめくるかを決める。そうやって一つずつもやもやを消していくことが大事。区切るとすっきりします。そもそも人間でいる限り、ポジティブでい続けるのは無理ですよね。だって生きていくことは山あり谷ありじゃないですか。そして、谷のどん底を歩いている時に前向きにはなれません。だったら、ネガティブでダメな自分を120%

受け入れてあげればいいんです。言い訳やできなかった理由を探すのではなく「そうだよね、そんなこともあるよね」って、湧いてくる怒りや悲しみや寂しさと一緒に座る。くさいものに蓋はしたいし、傷口に塩は塗りたくないけれども、マイナスを無視するのは解決法にはなりません。前を向こうと思うタイミングが来るまで、じっくり向き合えばいいんです。その経験がバネとなる日が来ますから。

子どもの“楽しい”を守るためにも第三者の力を頼る

ーー人生で起こることに無駄はひとつもないのですね。仕事と子育てを両立するポイントは?

もう、私もみんなと同じで悩んでますよ(笑)。私は子どもが楽しい状態であることを最優先にしています。そのためにはこちらに余裕がないといけない。働きながら育児をするために自分の負担を減らす工夫として、生まれた頃からナニーさんの力を借りています。ただ、日本ではまだまだお母さんが一手に育児を1人で抱える風潮があって、ベビーシッターをお願いすることに罪悪感を抱くママも多いように思います。長い間、シッターさんに伴走いただいていて感じることは、母は母でナニーさんはナニーさんという立場は、子供にとっても変わらない気がします。

タイに移住した頃。写真提供:CHICO

もし、私がすべてを担っていたら、間違いなく終わらせなくてはならない仕事のこと、家事などをやりながら育児をするでしょうね。子どもからするとママは上の空で、半分しか自分を見てもらっていないのが伝わってしまいます。私は私で、もっとやってあげたかったのに、という自己否定に陥ります。みんなが幸せな状態が家族の目標であるのに、本末転倒になりかねないのではないかと思ってしまうわけです。それよりも100%自分を見てくれて「かわいいね」と言いながら、遊んでくれる。そういう存在はママにとっても、子供にとっても安定する存在だと思います。

タイに移住した頃。写真提供:CHICO

ーー向き合うためのゆとりですね。そのうえで、お子さんたちと取るコミュニケーションはどんなものなのでしょうか。


子ども達と過ごす時はスマホは見ません。というのも、育児において「観察」がとても大事だと考えているからです。6歳を迎えて学校に通うようになり、また今までとは違う経験をしています。そんな彼女たちの言葉や行動には思考があって、ときには誰かのバイアスがかかっているような発言をすることも見受けられます。

パリにて。写真提供:CHICO

例えば「男の子はスカートをはいちゃいけないんでしょ?」と質問をしてきたので「いや、履いていいんだよ」と返し、スコットランドの民族衣装であるキルトから「ヨウジ ヤマモト」の男性が履いているロングスカート写真を見せます。そういった誰かの固定観念や社会的バイアスを断ち切るのは、それに気づいた人の役割だと思っています。我が家の場合は、私が多いかな。スマホのチェックや仕事をしながら話に付き合うと、そういったことに気づかないことがあるので、自分の中ではNGとしています。どうしても、メールに返信をしないといけない状況になると「このメッセージだけ送ったら遊ぶから、待ってて」と断りを入れています。娘達はいろんな地域で暮らしたおかげか国境に対してはボーダレスです。スクールではブラジル人とオーストラリア人の両親を持つ友達など様々な国籍の人に囲まれています。そういう環境に身を置きながらも、意識を狭める偏見を持つのはもったい意識と思います。いろんなスタンダードがあるというのを知ってほしいんですよ。

ーー何歳くらいからそのような会話をしているのですか?

タイに移住した頃。写真提供:CHICO

3歳頃しょうかね。ポロっと「ピンクがいい」と口にした日がありました。「え、どうしてそう思うの?」とたずねると「かわいいから」という反応だったんです。そこで「オレンジもかわいくない?」とツッコミを入れて、なぜ、ピンクを選んだのかを自分で掘り下げてもらうようにしました。そんなやりとりをしているおかげか、考える力が付き、口も達者になっていますね(笑)。常日頃から「お母さんはあなたたちが大大大好きだから、思っていることを全部教えて」と伝えています。この話題をすると怒られるかもという観点で口を閉ざされたくないので、好奇心を全面に出しています。すると「あのねー」と何でも話してくれるんですよ。そこで出るトピックスは漏らさないように聞いています。

感情と状況のシェアが子どもの自立を促す

ーー子どもというよりは人として接されているのですね。

そうかもしれません。親と子どもはチームだと思っているので。私がやることは完璧ではないと伝えています。忘れ物もするし、ヘトヘトにもなる。特に自分がしんどい時は「今日、お母さんはめちゃ疲れているから、ごめんだけど遊べない」などと伝えて共有しています。何も伝えずにいるとイラつきから叱りかねないですからね。、それはなんとしても防がなくてはなりません。そうすると「マッサージしようか?」と声をかけてくれたりもしますね。2歳ころから仕込んでいるからかびっくりするほど上手くなっています。精油「スウィート ドリーム」で彼女たちもほぐして、ぐっすり眠ります。今回の出張では猫のごはんとトイレの掃除をお願いしました。先日のテレビ電話でちゃんとできているかをたずねたら得意気な顔で「やってますよー。大丈夫」と。その表情と言葉は頼もしかったですね。

ーー2018年から5年間はタイに拠点を移されていました。その暮らしで得たものは?

タイに移住した頃。写真提供:CHICO

豊かな自然の中で子どもたちがのびのびと成長できた点と、キッズフレンドリーな国であるからこそ自己肯定感を育める子育てが実践しやすかったことですかね。すごくいい時間だったと思います。ただ、いつかはフランスに戻る予定ではいました。タイミングを見計っている時にパリ出張があり、たまたま書店に立ち寄ったんです。すると子ども向けの本棚に並んでいる本の中でも「大統領の仕事とは」といったタイトルが目に入ってきて、手に取ると8歳向けの本でした。フランスでは、子供向けの本でも社会派のものも多く、娘たちも社会の一員として生きるターンを迎えたかもしれないと思ったんです。同時に、この数年の間にエシカルやサスティナビリティの意識が急速に広がり、製造業においても環境保全にまつわるルールがどんどん更新されています。私たちは未来のスタンダードに合わせたものづくりをしたいと思っているので、その発信地に身を置くべき時機がやってきのかな、と感じたんですね。そうしてパリに戻り、次に向かうべき未来へ進んでいます。

エッフェル塔の前で。写真提供:CHICO

「SHIGETA PARIS」と家族のみんながファミリー。オープンマインドな姿勢は誰もを包む「太陽」のような存在だ。CHICO SHIGETAが歩む次のフェーズからも目が離せない。

text: Mako Matsuoka
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