「シゲタ パリ」の未来とは? CHICO SHIGETAに聞く【前編】

Beauty

2024.05.03

「シゲタ パリ」の未来とは? CHICO SHIGETAに聞く【前編】

marie claire digital

2006年からそのひと本来の美しさを開花させる独自のメソッドを提唱し、ホリスティックビューティーおよびオーガニックコスメブランドの先駆者となった「SHIGETA PARIS」。立ち上げから18年を迎え、次のステップへと進むために4月末に実店舗「LA MAISON SHIGETA」を畳んだ。パリから一時帰国していた主宰者のCHICO SHIGETAに、彼女が描く“これから”とCHICO流の子育て術をたずねた。前編では、ブランドの今後についてのインタビューをお届けする。

今夏よりオフィスへの出張サービスをスタート

ーーはじめに「LA MAISON SHIGETA」を1年間運営した感想を聞きたいです。

表参道という場所でオープンしたこともあり、様々な課題が見つかりました。名が示すようにここは「ショップ」というより「家」に近い存在でありたいと思って開いていました。お客さまとしっかりお話しし、お悩みやライフスタイルを伺い、それに沿ったアイテムを提案しきました。いらしてくださる方は東北や九州などの遠方にお住まいであるケースも多く、頻繁に来られる環境ではないというのも分かってきました。また、丸の内でもイベントを実施した際に、都内や近郊で暮らしていても表参道にはなかなか来れないという声も頂戴しました。私自身を振り返ってもそうですが、平日はがっつりと仕事で、週末は子どもと過ごすというサイクルが多くの方にあるのでは?と思います。仕事と家庭でフル稼働しているのでわざわざ足を運ぶのは至難の業。ただ、私たちとしてはそんな風に頑張りすぎている方にこそ伴走したいと思っているんですよね。そのためにできることを考えたら、必要とされている方々の元に出向けばいいのではないか、という結論に達したのです。

ーー具体的には?

2つあります。まずは、SHIGETAのインストラクターによる企業へのウェルネスワークショップの出張サービスです。私たちの基本のメソッドに「バイタリティー・コーチング®」があります。「意識をした呼吸法」、「体を整える食事」、「植物の力」、「セルフマッサージ」の4つの視点から、カラダが本来備えている心地よさを目覚めさせるものです。肩こりをラクにする呼吸法や、むくんだ足のいたわり方などを45分間で講義と実践をします。レクチャーだけでは、聞いたことって忘れがちです。なので、参加者にも手を動かしていただくことでメソッドを身に付けていただけると思っています。セルフケアをした後に「いつもと何か違うかも」という感覚を抱いたら、自然と覚えますからね。

ーー「SHIGETA PARIS」が会いに来てくれるなんて、夢のようです。ワークショップは1回のみですか?

1回でももちろん良いのですが、季節の変わり目のお悩みを解決できるように年4回というプログラムも提案予定です。

ーー女性の多い職場にアプローチされるのでしょうか?

働く人が心地よく暮らすための仕組みに注力をしているので、男女比にはこだわりません。「LA MAISON SHIGETA」の店頭にも男性が精油を求めにいらっしゃることもありますしたし。性別や世代を設けずにセルフケアが浸透する工夫を凝らしていきます。また、会社と手を組むことでハードな日々を送る方々の日常のセルフケアにより近づくことができます。仕事場でセルフケアが習得できるなら、無理なく、やってみようという心境になりやすいのではないかと思うんですよね。さらに社員の不調緩和は企業にとっても生産性の向上にもつながるのではないでしょうか。

「SHIGETA PARIS」が歩んだ18年間でアロマテラピーが定着

ーー2つ目の取り組みも知りたいです。

LA MAISON SHIGETAのオンラインサービスの開設です。時間や場所を問わずに「SHIGETA PARIS」の世界観に触れたり、セルフケアメソッドを学んでいただけるようになります。こちらは2024年秋のローンチを目指しています。カウンセリングをはじめセルフケアの動画、おすすめのアイテムなどを紹介する予定。まだコンテンツを練っている最中なので、どんな内容になるかは私も楽しみです。この18年間で日本における「SHIGETA PARIS」の第一ミッションはコンプリートしたかもしれないな?と思っています。

ーー第一ミッションとは?

自分のカラダとココロを整えるためのセルフケアの重要性を伝えることです。私たちが駆け出しの頃は「デトックス」さえも耳慣れない言葉で、みなさんがカラダの内側に目を向ける機会も少なかった。コロナ禍を経て健康に対する意識が高まり、心地よく暮らすためにライフスタイルを充実させるムードも加速しています。そのなかでセルフケアを実践される方も増えて、私たちがその大切さを声を大にせずとも分かってもらえるようになった。また、2020年以降は精油が配合されたバスソルトのヒットに象徴されるように、香りとの距離もぐっと縮まった気がしています。
人間が本来備え持ついろんな感覚を駆使するのを遮断された生活で、嗅覚を研ぎ澄ましてアンバランスな環境下での均衡を保とうとしたのではないでしょうか。実はこれまで、ヨーロッパでは日本人は香りに対する苦手意識があるというのが常識でもありました。でも、それが覆りつつある。そもそも日本には白檀や沈香といった天然木材の香りを聞く「香道」が存在するように自然の香りに対して好意的です。その下地があるからこそ植物や花などから抽出する精油も受け入れられるのだと思います。とはいえ「SHIGETA PARIS」の立ち上げ時はエッセンシャルオイルを用いた製品はごくわずかで、しかもほとんどがプロ向けだったんです。そして、その良さがメディアなどを通じて一般の方にも伝わると同時に製品のバリエーションも豊富になりました。同時にアロマに対する知識も底上げされています。

ーーフランスはアロマテラピーやハーブなどの自然療法の先進国でもありますよね。

たしかに自然療法は昔から存在しています。ただ、2000年代初頭までは祖母から教わったものという位置付けで脚光を浴びていませんでした。オーガニックに傾倒する人が愛用する程度のものだったんです。でも、この10年ほどは、薬を飲む前に自然のもので症状を緩和したいという人が増え、また近頃のウェルネスブームに伴い、今ではどこの薬局でも精油をセレクトしています。薬剤師のカウンセリングを受けて購入するものなんですよ。

CHICO SHIGETAの技術とマインドセットをセラピストに継いでいく

ーーパリでも新しいチャレンジを始めるそうですね。

はい。ウェルネスブームによってマッサージ身近になりました。15年くらい前まではカラダに触れられることに対してまだまだ先入観があり、それが、フランス人のスタンダードだったんです。その感覚が健康志向の高まりと共に変わっています。福利厚生の一環として、オフィスにセラピストが社員のためのクイックマッサージのために週一で訪ねてくるという話も耳にします。そして昨年、タイからパリへ拠点を戻したのと50歳の節目が重なりました。転機を迎えたのをきっかけに自分の“好き”を突き詰めることにしたのです。

ーーと言いますと?

私にとってもっともココロを豊かにしてくれるのは施術なんですね。もう、大好き! パリ7区にあるサロンでゲストを迎える前に室内を整える瞬間から楽しくて。そこでお客さまと対話しながら過ごす時間はかけがえのないものです。サロンから見えるのは歴史的建造物と緑のみで、窓を開けると鳥のさえずりと鐘の音しか聞こえません。みなさん、足を踏み入れたら都市にいることを忘れてくださいますね。私にはエステティシャン、セラピスト、美容師のバックボーンがあります。それを活かした「フェイシャルリフティングトリートメント」では、頭・顔・首をリンクさせて血行とリンパの流れを促します。ありがたいことにお客さまから「こんなに変わるのは初めて」というお声をいただく機会が多くて。私が実践していることを他のセラピストに共有したいと思うようになりました。

ーープロ向けのレッスンを開始されるのですか?

そうです。セラピストとして重要な2つの軸「技術」と「マインドセット」をレクチャーします。特に後者はアイデンティティを掘り下げていくものになります。「あなたは誰? 」「なぜ、この職業を選んだの? 」といった質問から始めていくつもりです。自分と対峙することによって殻が破れるので。というのも、私はお客さまを迎える時に、まず施術者がココロを全面的に開くことが大事だと考えています。こちらがオープンだと相手にも伝わり、実は、カラダの反応が良くなり、効果が高まるのです。自ずとプロとして磨いた技術を存分に発揮できるようになるんですよ。

ーーオンラインでの受講もできるのでしょうか?

はい、マインドセットの講習は、オンラインで行います。パリで実施するのでフランス語と英語が中心になります。6月には日本語のクラスを開講する予定です。世界中のセラピストとつながれることにすごくワクワクしていますね。

後編「前向きな自分も子育てもコミュニケーションが鍵を握る。CHICO SHIGETAに輝きの秘訣を聞く」に続く

interview & text: Mako Matsuoka edit: Mio Koumura
CHICOさんの世界観が集結した「LA MAISON SHIGETA」【倉田真由美のBeauty Life】
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