【倉田真由美のBeautyLife】歴史の残り香と伝統美あふれる「HOTEL THE MITSUI KYOTO」〈前編〉

窓からは美しい日本庭園や二条城が

訪れるたび、歴史に想いを馳せたくなる街、京都。昨年、誕生した「HOTEL THE MITSUI KYOTO」がある二条油小路も、かつて三井総領家(北家)の居宅があった地。300年という時を遡り、受け継がれてきた梶井宮門をくぐり、敷地に足を踏み入れたときから神聖な感覚に抱かれます。自然素材を用い、巧みな工藝技術によってしつらわれたロビーや客室には落ち着きと趣があり、庭園には、四季折々の花が。部屋タイプによっては、二条城を間近に望むことができる、という、この上ない贅沢さ。「庭屋一如(ていおくいちにょ)」を体現するホテルでは、自分が日本人であることを改めて意識させられ、それもまた京都を旅する醍醐味なのだと感じます。

和の伝統とモダンさが交錯する口福なひととき

抹茶と菓子でゲストをもてなす「茶居」では、茶の湯の奥深さを感じ、客室のアメニティから漂うのは、日本らしさのある慎ましやかな香り。上質な和の文化を存分に感じつつ、現代を生きる私たちにフィットする心地よさは、ダイニングにも表されています。地元だけではなく日本全国で育まれた選りすぐりの食材を、日本料理という型にはめず、フランス料理やイタリア料理と融合させるという粋なたくらみ。新しい京都の味が、夜も朝も五感を満たしていく口福なひととき。今回ばかりは、観光であれこれ動き回ることをやめ、ホテルでの静かな時の流れを楽しみたいと思いました。